人口減対策に「1%移住戦略」
富山県の人口が100万人割れとなったニュースが駆け巡っていますが、
今から7年前、私はジャーナリストだったころに北日本新聞に寄稿し、若い女性を戻す政策を訴えました。
取材したのは、人口問題の専門家、「持続可能な地域社会総合研究所」の所長の藤山浩さん。
富山県のデータを分析してもらったのです。
藤山さんは、2015年時点の国勢調査をもとにして、藤山さんが全国の市町村別に人口推計を出したのです。過去5年の人口動態の変化率などを踏まえて独自に予測したのです。
それは、驚くべき数字でした。富山県全体では、106万人の人口(当時)が2060年には62万人に減少する見通しというのです。
藤山さんは「都会に出た男性は戻っていますが、30代ぐらいの若い女性があまり戻っていません。大きな製造業があり、そこが男性の受け皿になっているとのかもしれませんが、女性を戻す戦略をもっと打ち出すべきです」と主張しました。
それではどうすべきなのか。
藤山さんは「1%移住戦略」を提唱しています。つまり、毎年今より人口1%分ずつ定住者を増やせば、多くの地域で人口は保てるのです。子供の数も維持できるといいます。毎年100人の村で1人、1000人の村で10人定住者を増やせば、人口を維持できるというのです。
そのためには、毎年1%の所得の増加が必要。その手法は、工場誘致や巨大なショッピングセンターの誘致ではないと、藤山さんは繰り返し論じていました。「地方の人でも、大部分は外部資本のチェーン店で買い物や外食しています。エネルギーも外部から調達しています。それを少し、地場のスーパーや飲食店などに切り替えるだけで、所得の増加が実現できます」。
さらに、移住者を増やすため、現状分析、人口予想、さらには処方箋が必要となりますが、藤山さんは、市町村全体の人口ビジョンだけでは、効果がないといいます。抽象論となり、住民が本気にならないからです。地元住民と役所の職員が、小学校区単位で、きめ細かく、対策を練ることが大事だというのです。そして、お互いの小学校区で、効果があがったところを学びあう必要もあります。
藤山さんによれば、2011年の東日本大震災をきっかけに、都市部から山間部や島しょ部への田園回帰が増えているといいます。その流れに、富山県が乗り切れていないといのです。
こんなやり方で、本当に人口減に歯止めがかかるのでしょうか。
僕は半信半疑でしたが、実際に流れを変えた自治体があります。