さよなら リーゼントの「生徒会長」
高校時代の先輩はいつまで経っても、先輩です。
僕は高校卒業後、38年経っても、その先輩に敬語を使い、その先輩は僕を𠮟りつけました。
「俺は去年ステージ4の肺がんになった。でも今は元気だ。お前を一人前にする」。
その先輩は高岡に戻った直後の僕を、厳しく指導してくれました。
「人の心をいただくような話をせよ」。
「東京と高岡は違うんだ。もっと高岡の零細企業の人の側に立て」。
その先輩は高校時代、リーゼントで、チョウランと呼ばれる丈の長い学生服を着ていました。
とても、同じ高校の生徒には見えません。
でも、情に厚い人で、人望があった。そしてカッコよかったのです。
僕が入学したとき、生徒会長でした。
一見不良そうな人がナゼと思ったのですが、すぐにわかりました。
勉強に熱心な高岡高校生は、生徒会長に見向きもしなかったのです。
先輩は誰もやりたがらない仕事を引き受けたのです。
僕はその先輩の後に続けと、
1年生の時に生徒会長の選挙に出て、
生徒会長になりました。
成績はどん底を味わいましたが、
生徒会のおかげで、高校生時代は、充実していました。
その先輩がきのう天に飛び立ちました。
先輩は、実家で静かに横たわっていました。
僕は安らな顔に手を合わせました。
先輩、本当にありがとうございました。
僕が高岡で暮らしていけるのは、先輩のおかげです。
さよなら先輩
義理、人情、恩返し。
先輩への恩返しは「恥じない生き方」です。
合掌