6月定例会③高岡市立大学の提言に市は

 

【質問】

4年後の閉校後には広大なキャンパスが残ります。一義的には、経営する第一学園の責任ですが、高岡市は、高岡法科大学設置の際には、大学設置準備室をつくって、用地買収などに手助けしたと聞いています。

第一学園では公立化という選択肢も、水面下で検討したと聞いています。

実際に私立大学が公立化されるケースは珍しくありません。読売新聞の報道によりますと、令和5年度までに私立大から公立大に移行した11校のうち8校は、公立化前年には在校生が定員に達していませんでした。しかし、公立化から数年以内に、8校全てが定員割れを解消しているようです。公立化初年度の入学志願者倍率が33倍に跳ね上がった大学もあります。

やはり、公立大になれば、ブランド力がアップし、人気が出るのです。また、公立化に伴って公立大学法人を設置した地方自治体には、国から多額の地方交付税が交付されます。これによって授業料を国立大並みに下げているのです。

私立大学が公立となったケースは、隣県でもあります。新潟県の長岡市では、平成26年に長岡造形大学、石川県の小松市では、平成30年に公立になったのは、小松大学です。多くの学生が通っています。長岡造形大学では、大学院を含めると、学生数は1109人。そのうち、県内は208人、県外は901人です。8割は女性です。

公立大学をつくれば、自治体にとっては財政的な負担も発生しますが、多くの若者が通ってくれるのは大きなメリットです。

外の人だけではありません。地域住民にとっても、恩恵があります。自宅から通える大学があれば、親の負担もかなり軽くなります。東京や大阪に出れば、多くの仕送りが必要になります。また、高岡法科大学の卒業生の6割は地元に残っていると聞きます。人口対策としても、高等教育機関の存在は、本市にとって極めて重要です。

そこで質問です。高岡市に公立大学を設置する考えはあるのでしょうか。

 

【答弁】

未来政策部長

近年、大学への入学希望者数が入学定員総数を下回る状況、いわゆる全入時代を迎えているといわれている。若い世代の価値観や進路選択の多様化が進む中にあって、これからの高等教育機関には、将来世代のニーズや志向にあった学びを提供することはもとより、地域の産業や経済の活性化に直結するような機能や役割、カリキュラムといったものが求められると考える。

地域の将来を担う若い世代に、進路の選択肢としてだけでなく、卒業後の活躍の場となる企業や職業といって受け皿までを含めた学びの体系を、地域全体でつくっていことは大変重要なテーマであると認識している。本市としては、高等教育の設置主体や経営・運営体制といって事業スキームからではなく、地域の特性や強みを生かして、地域の将来を担う人材を育成するという観点からアプローチすべきテーマであると考えている。先日学生確保に向けた県と県内高等教育機関で、研究会議を設置するとの報道があったが、こうした動向などを注視しながら、全国で特徴のある学びの場を提供している地域や高等教育機関に関する情報収集を進めていきたいと考える。