人生を変えた東日本大震災
今週の3月11日、東日本大震災から11年を迎えます。
東日本大震災は、私にとって人生を大きく変えた出来事でした。
テレビ局の社員の業務のほかに、作家デビューしたのです。
それまで、テレビ朝日の社員として、ただひたすら日々のニュースを追いかけていた。
報道ステーションという大きな番組の責任者として、ニュースを采配していたのです。
サラリーマンとして、日々、忙殺されていました。
ところが、3・11のあの惨劇を見た瞬間、価値観が変わりました。
災害に対する人間の無力さ。
助けようにも、何もできない自分。
さらには、報道人として現場に飛び出し、取材したい。
さまざまな思いを抱きながら、報道番組の管理職だけに、基本的には東京にいました。
毎日、ニュースの陣頭指揮を執る一方で、
僕が目覚めたのは、週末の日本の近現代史の勉強でした。
平日はニュースに忙殺されていましたが、
週末は図書館に閉じこもり、ひたすら勉強です。
そこで痛感しました。
日本人は、東日本大震災で挫けてはいけない。
振り返れば、敗戦で叩きのめされた日本人は見事に立ち直ったのではないか。
そんな視点で本を執筆したのです。「清貧と復興 土光敏夫100の言葉」(文藝春秋)です。
テーマは土光敏夫。焼け野原から日本経済を引っ張ってきた人です。
土光さんは、戦後復興に全力を尽くし、高度成長を駆け抜け、
晩年は国家再建に命を燃やしました。
その土光さんの生き方が反映した言葉は
「個人は質素に、社会は豊かに」。
それから11年。僕は「個人は質素に、社会は豊かに」を胸に刻みながら、
高岡再興を目指しています。