「西武」社長流の改革、高岡にも大事

昨日付の新聞に掲載された社長人事。なつかしさがこみ上げました。

西武鉄道やプリンスホテルなどを抱える西武ホールディングスで、18年ぶりに社長が交代したのです。

4月1日付で西山隆一郎常務が社長に、後藤高志社長は代表権のある会長に就くというのです。

後藤さん、西山さん。お二人とも、私は東京にいた際、親しくさせていただきました。

西武と言えば、堤一族が牛耳っていた会社でした。

しかし、西武は有価証券報告書虚偽記載で、上場廃止。

その後、みずほ銀行から乗り込んできたのは、後藤さんと西山さんです。

経営改革を実施しました。

後藤さんが社長として、辣腕を振るい、

西山さんがそれを支える立場でした。

後藤さんと西山さんは今後は、会長、社長という立場で、

経営のかじ取りをなさるのですね。

期待しております。

私は後藤さんを何度も取材し、

7年前にこんな文章を書きました。

西山さんは後藤流を引き継ぎます。

後藤流の改革。企業だけでなく、

地域にも必要です。富山県や高岡市にも。

武闘派”と“名将”に学ぶチーム再生
  地方再生のヒントも
 
  
“武闘派”として知られている西武ホールディングスの社長、後藤高志と久しぶりに会った。後藤はこんな話をしてくれた。
「次々に出てくるアイデアに僕は絶対『ノー』とは言わないですよ。むしろ社員に『やってみよう』と後押ししています」。有名シェフ監修の料理が楽しめるレストラン観光電車や、若者がラップを踊る電車など「社員のアイデア」を次々に導入した。また、ホテルや不動産部門でも毎日のように社員から企画が上がるという。
西武鉄道グループは、オーナー経営者、堤義明の「個人商店」だった。関係者によれば、堤は企画立案するのは自分で、社員はその“手駒”にすぎないという姿勢だった。
「みずほ」から西武入りした後藤は社内風土の改革を断行した。社員は自分で考えることに慣れていなかった。そこで、「頻繁に若手社員と座談会で話し合ったり、幹部社員と一緒に、将来の西武グループがどうあるべきかを議論する『後藤塾』を定期的に開いた」という。
2016年の3月期の連結決算は572億円と過去最高。この“金字塔”には、社員の意識改革も大きく影響したと思う。
私は10年以上前、後藤と頻繁に会っていた。後藤が経営危機に陥っていた西武入りした直後のことだ。当時、頭取候補とも言われていたため、「火中の栗を拾った」と話題が集まった。私は後藤に誘われて、東大ラグビー部のOBが開いた「後藤を励ます会」に飛び入り参加したこともある。私自身も高校・大学でラグビーをやっていたこともあり、考え方に共鳴することが多かった。
後藤は伝説的なサラリーマンだ。旧第一勧業銀行は1997年に総会屋事件の渦中にあった。総会屋に対し、460億円もの利益供与し、頭取経験者11人が逮捕された。当時は企画部副部長。改革派の「四人組」の筆頭格として、社内改革の旗を振った。組織内でいつも改革に立ち向かう姿勢を貫き、いつしか「武闘派」と呼ばれるようになった。
後藤は西武の再生でも「難局でも逃げないラグビー精神が生きた」と語る。逃げずに正面突破。そのラグビー精神が後藤イズムの根幹だと思う。
私は後藤と話しながら、ラグビーW杯で日本を歴史的な勝利に導いた名将、エディー・ジョーンズの言葉を思い出した。
「私が求めているのは、チームのために何かをしたいという積極的な選手です。スター選手であっても、そこからもっと上に行けるんだ、と理解させたいと思っています。魔法はありません。意欲を変化させるのです。」
エディーはこうも語る。「私が日本代表を指揮していたとき、選手が安住していた環境をぶっ壊し、彼らを極限まで追い込み続けました。日本人は、従順であるように教育されている。だから、全てをひっくり返す必要があったんです」。
リーチ・マイケルや五郎丸歩など個性鮮やかな選手の活躍は、名将エディーの采配抜きでは語れない。
メンバーの意識改革の重要性は、何も企業やラグビーチームだけでない。総務省の元自治財政局長で地域活性化センターの椎川忍は、地方公務員のあり方について「住民の生の声を踏まえずに、国が作った既存の『法令や制度』を忠実に運用することで仕事をした気持ちになっている」と警鐘を鳴らす。その上で、「常に、国民や地域住民のみなさんの立場に立って、少しでも改革・改善ができないかと考えるべきだ」と主張する。椎川が言及する「法令や制度」。西武に当てはめると、堤義明の「天の声」につながる。一人ひとりが自分で考え、アイデアを出す。そして実行。“チーム”が強くなる要諦はそこにある。「武闘派後藤」、「名将エディー」は地方再生にもヒントを与えてくれる。(敬称略)

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